EP14 では、Day 103 から Day 111 までを書いた。自分の会社の毎日を、そのままロールプレイングゲームとして運用している Hiro が、十五年ぶんの考えを一冊の電子書籍にまとめ、申請の窓口で何度も弾かれ、置くはずだった棚がそこには無いと知って選び直し、ようやく売り場に並ぶところまで押し出した九日間。造ることと、送り出すことは、最後まで別の仕事だった。
その九日間の終わりに、本とは関係のない出来事が一つ紛れている。Day 109 の朝、Hiro は AI がまとめてきた発信の計画書を突き返した。昼前に届いた書き直しは、毎日書いて公開している108日ぶんの記録——放っておいても積み上がっていく「原作」——を60秒の縦長動画に作り変える製造ラインの図で、撮影所という名前までついていた。変換にかかる費用は、ほぼゼロになる。計画書は、そう見立てていた。その二日後、Hiro 自身がそこへ完成の条件を書き足す。1本出せた時点は通過点。作る手間が実質ゼロに収束したときが完成だ、と。
この EP15 は、その続きの10日間。Day 112 から Day 121 までの記録である。
見立てと条件の、答え合わせだった。費用のほうは、そのとおりだった。この10日間で増えた持ち出しは、見当たらない。手間のほうは、ゼロには程遠かった。合成音声の読み間違いを直し、声を不自然にせずに低くする方法を探し、切り出したコマを一枚ずつ見て字幕のはみ出しを拾う。そして10日目、動画を世に送り出すまでの五つの手作業が、ようやく一本の命令にまとまった。
だが、この10日間の手ざわりを決めていたのは、その製造ラインを組む時間ではなかった。誰にも気づかれないまま毎週配られていた、古い呼びかけ文。中身は別物なのに、隣のページと見出しも説明文も一字一句同じで、検索の索引から消えていた記事。ファイルを書き換えるたびに鳴りすぎて、聞き流されかけていた警告。「見えない」と書いた字が、画面の外へ押し出されていた字幕。掘り出したものは、どれも書いたこと自体は間違っていない。それでも届いていなかった。届かない理由は、たいてい中身の外側にある。
この10日間で、数字は二度動いた。Lv34 から Lv36 へ。職人の段位の、六段目。そして Day 118——索引から消えていたページに新しい名前を与えたその同じ日に、Hiro は会社が掲げる理念のほうも書き換えている。「人生と経営を、最高のゲームにする。」
Day 112-121、届かない理由は、中身の外側にあった。この冒険の詳細は Note でご覧ください。
▼ この冒険の詳細は Note で
ゲーミフィケーション実践記EP15|仕事と人生を完全没入型ゲームにしてみた|DAY112-DAY121:届かない理由は、中身の外側にあった ── 撮影所の見積もりを確かめた10日間
▼ マガジン全話一覧「仕事と人生を完全没入型ゲームにしてみた」
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▼ シリーズの起点・統合プロフィール記事
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