EP12 では、Day 87 から Day 93 までを書いた。職人になった Hiro が、派手な瞬間のないまま、静かに Lv32 の扉を押し開けた七日間。昇格は宣言するものではなく、記録するものだ——そう教わった七日間だった。
職人の段位に入って、ふた月あまり。この段位の手ざわりは、前巻から変わらない。大きく作るより、細かく直す。そしてその直しが、だんだん一つの癖になっていた。——確かめる、という癖だ。
この EP13 は、その続きの九日間。Day 94 から Day 102 までの記録である。
最初の日、Hiro は書き溜めた自分用の覚え書きを、元の資料と一枚ずつ照らし合わせ、18 箇所の写し間違いを見つけた。だが、この週に確かめることになるのは、誤字だけではなかった。一時間おきに作業へ割り込んでくる不具合の、本当の原因を。三つの家に別々のまま残っていた、鍵の作りを。十三日間も止まっていたのに、誰も気づかなかった鏡を。「たぶん、こうだろう」を、一つずつ、実際に測って事実に置き換えていく。
確かめる対象は、最後に、自分自身へ折り返した。新しい台帳を作るため来歴をたどるうち、Hiro は古い保管庫の奥で、二年前のステータス画面を見つける。レベルも、ジョブも、経験値も、いまとそっくり同じ発想で組まれていた。日付は、2024年3月28日。いまの冒険が Day1 として始まった、ちょうど二年前の、同じ日だった。さらに糸を手繰れば、体系化に手をつけたのは2010年——もう十五年以上も前のことだった。始めたのではない。ずっと、やめられずにいたのだ。
この九日間の途中、静かに数字が動いた。Lv32 から Lv33 へ。職人の段位の、三段目。派手な達成の褒賞ではない。「たぶん」を一つずつ事実に置き換える——その地味な確かめる癖こそが、二度と崩れない土台を作る職人の、いちばん奥にある道具だった。
Day 94-102、記憶ではなく、証拠で確かめた九日間。この冒険の詳細は Note でご覧ください。
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ゲーミフィケーション実践記EP13|仕事と人生を完全没入型ゲームにしてみた|DAY94-DAY102:二年前の同じ日、もう一人の自分がいた ── 記憶ではなく、証拠で確かめた9日間
▼ マガジン全話一覧「仕事と人生を完全没入型ゲームにしてみた」
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▼ シリーズの起点・統合プロフィール記事
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