EP17 では、Day 134 から Day 139 までを書いた。自分の会社の毎日を、そのままロールプレイングゲームとして運用している Hiro が、自分に有利な仕組みを自ら外した6日間。やったことは1件ずつ数えて点数に換算し、貯まればレベルが上がる。件数は始めた頃の4件から57件へ。これを速さ——一日に片づく件数が桁で増えたこと——と呼ぶ。そこへもう一つの加速が重なる。レベルが上がるほど、点数にかかる倍率も大きくなる作りだった。仕事をゲームにした人間がのめり込みすぎ、ゲームの側が保たなくなる——それが「ゲームを壊した」だ。Hiro は倍率からレベルの分を外し、Lv50 から先の必要点数を2倍にした。段位は熟練者から導師へ。Lv50 だった。
この EP18 は、その続きの9日間。Day 140 から Day 148 までの記録である。
初日、Hiro は動画の作り方を根本から入れ替えた。毎日書いている記録を、60秒ほどの縦長の動画に作り変えて公開している。その手順のほうだ。作り直せば、必ず見落としが出る。組み立てを途中で止める仕組みを四つ足した。たとえば、同じ絵を1本の中で二度使ったら止まる。いつもなら、ここで次へ進む。この日は進まなかった。検査に通ったことは、その検査が働いている証明にならない。一度も動かされていない検査は、何も見ないまま「異常なし」を返す。Hiro はわざと間違いを仕込んだ台本を四通り作り、四通りとも止まることを確かめた。以下、これを確かめ方——作ったものが本当に働いているかを、作った側の言い分ではなく、出てきたものの側から確かめる手立て——と呼ぶ。
翌日、動画を最後まで見てもらうために三回続けて手を入れたのに、数字が一度も動かなかった理由が分かる。そのとき最も弱いところが、全体を決める。弱いというのは、そこで見るのをやめる人がいちばん多い、という意味だ。冒頭で最も抜けるなら冒頭が決め、途中で最も抜けるなら途中が決める。三回とも、Hiro が直したのは、そのとき弱くない場所だった。同じ日、読み上げに使う合成音声の一語がどうしても不自然で、五回作り直した。五回目に過去の記録を開くと、その語の読み方は、すでに二件書き残されていた。先に開いていれば、一度で済んでいる。どちらも、直す場所ではなく、見るべき場所のほうを間違えていた。
Day 143、原稿を通す検査そのものが狂っていた。この連載の原稿は、公開前に、前提知識のない読者になりきるよう指示した AI へ通し読みさせ、意味の掴めない箇所を重い順に拾わせている。ところが、いちばん重い区分の定義が、手順書にある「そこで何が起きたのかを自分の言葉で言えない箇所」から「読み進められなくなる箇所」へすり替わっていた。別の検査だ。比喩の意味が分からなくても、読み進めることはできる。だから実態の掴めない比喩は一つも拾われないまま、10点満点で、通す基準を上回る9.88がついた。正しい定義で読ませ直すと躓きが出て、九回くり返してようやくゼロになった。検査は通っていた。その検査が使っていた物差しのほうが、曲がっていた。
そして、この日についた点数がおかしかった。前日の3分の1だ。答えが出たのは翌日で、原因は働きの量ではなかった。作業ひとつを1件と数える、その区切りが、その日だけ変わっていた。前日94件、Day 143 は31件。同じ単位で数え直せば130件から180件のあいだで、本来つくはずの点数は実際の3.7倍から5.5倍だ。記録も集計も投稿も、すでに出たあとだった。数え直して付け直すことはしない、と決める。代わりに、1件の単位を手順書に書いた。整えるための検査は何本もあった。書いてあることが本当かを確かめる検査は、一つも無かった。行動を点数にして自分を測る仕組みは、ゲーミフィケーションで自分を観測する——HP・MP・EXPで成長を可視化する技術で解説している。
Day 145、手順書の「24時間あけること」の出どころを遡ると、Hiro はそう言っていなかった。数字にしたのは AI で、守ったのは Hiro だ。翌日、絵の選び方を縛る決まりを全件遡ると、AI が作ったものが33件あった。同じ日、動画の冒頭に置く一行の採点で、最も配点の大きい項目が20回続けて同じ値を返した。採点ではない。定数だ。最終日、公開した動画で字幕が足りないことに気づく。台本に書いたのは27枚、映像に出ているのは15枚。エラーは一つも出ていない。入れた数と、出た数を突き合わせる検査が、どこにも無かった。レベルは60。導師から賢者へ。Day 140-148、異常なしは、何も見ていなくても出る。この冒険の詳細は Note でご覧ください。
▼ この冒険の詳細は Note で
ゲーミフィケーション実践記EP18|仕事と人生を完全没入型ゲームにしてみた|DAY140-DAY148:異常なしは、何も見ていなくても出る ── 9日で10レベル上がり、確かめ方を全部作り直した9日間
▼ マガジン全話一覧「仕事と人生を完全没入型ゲームにしてみた」
https://note.com/kindboss_hiro/m/m4307ead0ed4d
▼ シリーズの起点・統合プロフィール記事
https://note.com/kindboss_hiro/n/n9861b7b58389