組織経営がなぜ難しいのか。それは「労働」と「経営」の違いにあります。
労働者から経営者への思考変容、行動変容は想像よりずっと難しく、真逆と言っていいほど異なります。本記事では、その違いを明確にし、リーダーが経営力を身につけるべき理由をお伝えします。
労働者としての成功体験が、経営者としての成長を阻害する
20数年前、自分がマネジャーになって組織を導き始めた頃に遡ります。仲間の頑張りのお陰で無事に予算を達成することができました。もちろん嬉しかったのですが、その反面、業務の増加に伴う組織の混乱や疲弊など、来期に対する不安も同時に高まっていました。
そこで、「予算を達成する為に組織を動かす」というやり方から、「組織を良くした結果として予算を達成する」「予算を達成する為に組織を良くするスピードを速める」という方向に戦略を切り替えました。
それからは組織が良くなる実感を持ちながら、仕事に向き合えるようになり、仕事を楽しめるようになりました。労働者としての「頑張る」成功体験は、経営者としての成長を阻害することがある。この気づきが、私のマネジメント観を変えた転換点です。
労働者と経営者の10の違い
労働者と経営者は真逆の存在であるが故に、成長で苦しみます。具体的にどのような違いがあるのか、10の観点から見てみましょう。
① 仕事:労働者の仕事は「業務(指示された作業の履行)」。経営者の仕事は「経営(売上・利益・品質向上、自ら施策を考える)」。
② 資源:労働者の資源は「自分の体」。経営者の資源は「経営資源(人・物・金)」。人とは自分を含めた人的リソース全体です。
③ 成果を増やす効果的手法:労働者は「ハードワーク」で成果を出します。経営者は「ハードシンク(深く考えること)」で成果を出します。体を動かすのではなく、頭を使うことが経営者の本分です。
④ 年齢による影響:労働者は体力・記憶力の低下により、新しいオペレーションへのチャレンジが難しくなります。一方、経営者は知識・経験が蓄積され、年を重ねるほどより大きな問題を解決できるようになります。
⑤ 学習対象:労働者の学習対象は「業務」そのもの。経営者の学習対象は「チーム・業務を良くする方法(戦略・戦術立案)」であり、人の動かし方、売上・利益・品質向上手法、ファイナンシャルリテラシーなど多岐にわたります。
⑥ 仕事・部下が増える(売上予算が増える):労働者は「大変」と感じます。経営者は「嬉しい」と感じます。自分がコントロールできる経費・部下が増えることで、より大きな経営が可能になるからです。
⑦ 売買スキル:労働者は「買うスキル」が高くなります。経営者は「売るスキル」が高くなります。
⑧ 必要スキル:労働者に必要なのは「記憶力(オペレーションスキル)」。経営者に必要なのは「想像力(ソリューションスキル)」。まだ存在しない解決策を考え出す力です。
⑨ 利益を高める考え方:労働者は「支出を減らす」ことで利益を高めようとします。経営者は「支出を増やす(すべての取り組み時間に対して給与を支払う)」ことで利益を高めます。人への投資が将来の利益を生み出すという視点が、経営者の発想です。
⑩ 給与:労働者にとって給与は「貰うもの(スタッフ給与:会社が払う)」です。経営者にとって給与は「払うもの(プロジェクト収支から自分が払う、余ったお金の中から自分の給与が払われる)」です。この視点の違いは、コストに対する感覚を根本から変えます。
なぜ経営力を身につけるべきなのか
今後のビジネス環境を考えてみましょう。少子化に伴い労働人口は減少し続けています。一方で、AIやロボット、オフショアとの価格競争が激化しています。
つまり、あらゆるオペレーションは機械・コンピュータで代替可能になりつつあります。給与が上がらない本質的な理由は、ロボット・コンピュータ・オフショアとの間で価格競争が発生しているためです。
リーダーとしての未来は、正に分岐点に来ており、自身で選ぶ必要に迫られています。
- 労働者(オペレーションリーダー)としての成長
- 経営者(組織経営者)としての成長
現在のオペレーションがコンピュータに置き換わったとき、社会・組織に必要とされる存在になっていることが重要です。その際に武器になるのが、売上・利益・品質を高める力「経営力」です。
リーダーは管理職(労働者)ではなく、経営職(経営者)です。組織経営者として成長することによって、労働者では解決できないより大きな問題を解決できるようになります。
まとめ
労働と経営は真逆と言えるほど異なりますが、難易度が上がるわけではありません。サッカーとサーフィンのように種目が違うだけです。どちらが優れているかではなく、どちらを選ぶかが問われているのです。
お金を稼ぐために働いているのに、「お金を稼ぐスキル」を身につけることを避けるのは大きな損失です。リーダーとして働く一番の理由は、「経営力」を身につけることです。それに気づいた人は、大きなアドバンテージを得るでしょう。
組織経営(営業・予算管理・業務改善)を意識的に避け、オペレーションに専念しすぎてしまうのは本当にもったいないことです。経営力を身に付けるという成長機会を是非生かしてください。
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