ユニットやプロジェクトが抱える問題は、いつも複数あります。限られた時間とリソースの中で、何を最優先に改善すべきか。
この判断を間違えると、努力が成果に結びつきません。本記事では、改善の優先順位を見極める「ボトルネックアプローチ」の考え方と、経営資源の「全体最適」についてお伝えします。
マネジメントとは「何を変えるか」を決め続けること
マネジメントとは、「何を変えるか。何に変えるか。どうやって変えるか。」これを繰り返し続けることです。
現場では同時に多数の問題が併存しています。スタッフの離職率、顧客からのクレーム、業務の属人化、コミュニケーションの断絶。数ある問題の中から、どれを優先的に解決すべきなのかを見極める必要があります。その手法がボトルネックアプローチです。
ボトルネックとは何か
ボトルネックとはビンの首(Bottle Neck)のことです。ビンを逆さにすると水がこぼれます。この流れ出す水が売上・利益・品質であると考えると、水の量を増やすためには、ボトルネックを広げれば良いことがわかります。
たとえば、業務プロセスがA→B→C→Dと連続している場合、Aが15件/時、Bが20件/時、Cが10件/時、Dが30件/時の処理能力であれば、全体のアウトプットはCの10件/時に制約されます。Dをいくら強化しても全体の生産性は変わりません。改善すべきはCなのです。
ボトルネックの見つけ方 —「一番汚いところ」を探す
ではボトルネックをどのように探せば良いのでしょうか。
私が現場で実践してきたアプローチは、「最も物理的に乱れ汚いところ」や「最も精神的に不安なところ」を探すことです。管理や改善が行き届かず、事故が起こるリスクが高い業務・プロセス・エリアこそが、ボトルネックである可能性が高いのです。
5S活動の「清掃」を例に考えてみましょう。一般的な5S活動における「清掃」は「職場全体を点検し、きれいにする」活動です。しかしボトルネックアプローチとしての「清掃」は意味が違います。「最も汚いところを探し、そこを集中的にきれいにする。」これがボトルネック改善としての清掃です。全体をまんべんなく磨くより、最も問題のある一点に集中する方が、組織全体の底上げに直結します。
ボトルネックアプローチの5ステップ
ステップ1: ボトルネックを特定する
物理的に乱れ汚れている・精神的に不安を感じるところ・「嫌な予感がする」と直感するところを探します。これがボトルネックの候補です。
ステップ2: ボトルネックのスピードに各プロセスのスピードを落とす
連続プロセスの場合のみ適用します。ボトルネック以上のスピードで他のプロセスを回しても、仕掛品が溜まるだけです。全体の流れをボトルネックに合わせることで、無駄な過負荷を防ぎます。
ステップ3: 余剰リソースをボトルネックの改善に投入する
ボトルネック以外のプロセスには余力があるはずです。その余力をボトルネックの改善に集中させます。リソースの再配置が、全体最適への近道です。
ステップ4: ボトルネックが移動する
改善が進むと、制約はまた別の場所に移動します。これは「改善が進んだ証拠」です。新しいボトルネックを次のターゲットにしましょう。
ステップ5: ステップ1に戻る
新たなボトルネックを見つけ、改善を繰り返します。この継続的なサイクルが組織を強くします。
個別最適ではなく「全体最適」で考える
経営資源の最適配置とは、常に「全体最適」です。自分が管轄する経営資源(人・物・金)を各チーム・プロセス単位で見るのではなく、常に全体を俯瞰して、どのように配置したら全体のパフォーマンスが一番高まるかを考えます。
個別最適(プロジェクト・チーム単位での最適化)から全体最適(複数のプロジェクトでの最適配置)への進化が求められています。あるチームだけを強化しても、別のチームがボトルネックになれば、全体の成果は変わりません。
プロジェクト全体の生産性・品質は、ボトルネックの生産性・品質で決定します。人を育てるだけではなく、人を活かす配置が重要です。
まとめ
改善の優先順位に迷ったら、まず「一番汚いところ」を探してください。物理的に乱れている場所、精神的に不安を感じるプロセス。それがボトルネックです。
そこに経営資源を集中させ、改善を仕掛ける。ボトルネックが移動したら、また新たなボトルネックを見つける。この繰り返しが、組織全体の業績を押し上げます。
「一番汚いところ(ボトルネック)を探し、そこを綺麗にする。」これをリーダーだけでなく全員で繰り返す。それがボトルネックマネジメントです。
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